ナノインデンテーション・リソグラフィAFMプローブ
サンプルの表面測定に加え、AFMを使用し、サンプル表面のマニピュレーションまたは微細加工も行うことができます。
ナノトライボロジー、ナノファブリケーション、ナノマシニング、ナノインデンテーションによる硬度測定、ナノリソグラフィー、サンプル表面の局所的な粘弾性マッピングなどでは、高負荷での動作を実現するため、極めて硬い探針と高いバネ定数を持つAFMカンチレバーが必要となります。
またAFMカンチレバーの探針が、サンプルまたは表面(酸化物)に貫入する際に探針が破壊(破損)されず、動的測定中でも容易に摩耗しないよう、硬い探針(ダイヤモンド、DLCコーティング、白金シリサイド、窒化物、EBD)である必要があります。
AFMカンチレバーの探針形状と接触力が、測定における接触面積との貫入深さまたは、スクラッチによるナノリソグラフィーの幅を決定づけます。
AFMティップの硬度と形状に加えて、傾きも重要です。
AFMベースで行うナノインデンテーションの欠点は、インデンター(プローブ)のアプローチが垂直ではないことです。 定量的なナノインデンテーションでは、プローブがサンプルに対して垂直に近づく必要がありますが、AFMはカンチレバーの撓みによる高さの変化による光学反射を測定する装置です。そのため、垂直な動きはAFMにとって通常の動作ではありません。
この課題には、ティップが傾斜補正されたAFMプローブを使用することで克服できます。
AFM探針が細ければ細いほど深く貫入することができますが、探針の鋭さが使用中変わらず鋭いままではないため、測定は実際の表面形状とAFM探針の形状の重ね合わせになります。
ナノインデンテーション測定に使用するAFM探針の半径の定義を単純化する一般的なアプローチは、先端が丸みを帯びた探針を選択することです。定量的な結果を得ることができ、トライボロジー測定も可能です。
先端が丸い探針では、カンチレバーの機械的な挙動の解析が容易です。同様に容易に特徴付けることができます。
AFM探針形状やそれによるAFMカンチレバーの挙動を考慮することで、ヘルツモデルに従って圧入をモデル化し、ナノインデンテーション測定のデータ分析を可能にします。
これらの目的には、酸化シリコンAFM探針、EBD球状やコロイドAFMプローブのご使用をお勧めします。
また生体サンプルの局所的な表面粘弾測定、摩擦測定には、探針形状は同じでも、ばね定数がより柔らかなAFMカンチレバーをご使用ください。
AFM探針が導電性の場合は、抵抗測定(SSRM)を同時に測定したり、ナノ酸化により表面加工を行うこともできます。
柔らかく先端が鋭い探針と、柔らかなカンチレバーは、ポリマー単分子層上でのナノグラフトの機械的誘導、または、自己組織化単分子膜(SAM)上での表面重合(SIP)や可逆性のナノリソグラフィーに使用いただけます。
AFMによるマイクロスケールのスクラッチやマイクロスケールの摩擦試験のアプリケーション、例えば極端な高低差がある試料の測定を行うには、特殊なAFMプローブである、ExtraTall(特別背の高い)探針を持ったプローブ (NanoSensors™ 特別開発品リスト または SDLに記載) が使用できます。このAFM探針は、通常のAFM探針が15 µmであるのに対し、最大60 µmの高さがある探針を備えています。