PeakForce Tapping AFM プローブ
2000年にWiTECは、従来のタッピングモードを発展させたパルスフォースモードを開発しました。タッピングモードでは、AFMカンチレバーをサンプル上方の定義した高さで共振周波数近傍で振動させます。加振の反転ポイントで相互作用が引力から斥力に変化する高さです。俗に言う、サンプル表面にAFM探針がわずかに触れている(タップしている)状態です。
サンプルの形状変化は、探針-試料間の相互作用の変化に関与します。これらはAFMカンチレバーの振動の振幅や位相の変化で検出できます。たとえサンプルとの接触時間が極めて短時間であっても、AFMカンチレバーは共振周波数で振動しており、1秒間に数十万回サンプル表面に接触しています。高速のフィードバックループを使っても、あらかじめ設定した相互作用力が再びリセットされるまでには、何度も探針先端がサンプルの表面にタップすることになります。
一方、パルスフォースモードでは、AFMカンチレバーを共振周波数で振動させるのではなく、ある一定の周波数で振動させ、AFM探針の振動のひとつひとつを解析します。このため、探針-サンプル間の相互作用は最小限に抑えられ、適正に調整されます。
パルスフォースモードはブルカー社によって引き継がれ、PeakForce Tappingモードと称してAFMに実装されました。PeakForce Tappingは、AFMカンチレバーの固有共振周波数よりもはるかに低い速度でAFMカンチレバーを振動させるオフレゾナンスモードです。
標準的な形状情報に加え、AFMカンチレバーのそれぞれの振動は1つのフォースカーブとみなされます。この曲線を解析することで、相互作用力を数百ピコニュートンまで調整して最小化することができ、粘着性、剛性、粘性などの試料の機械的特性に関する情報を得ることができます。
図1 PeakForce tapping動作における Z ピエゾ位置とAFMカンチレバーのディフレクション
(1)ベースライン、(2)ファンデルワールス引力、(3)スナップインコンタクト、(4)たわみ/押し込み、(5)「ピーク」力、(6)リトラクション(引き離し)(7)発振/共振振動、(8)ベースライン
PeakForce Tappingのフォースカーブの1サイクルをイラストで示したものです。ピエゾがサンプルに向かって徐々に伸び、サンプルから離れます。この過程では以下のサイクルを辿ります。
1.ベースライン。 AFMカンチレバーがサンプル表面から遠く、カンチレバーのたわみなし
2.遠距離力であるファンデルワールス力により、AFMカンチレバーはわずかにサンプルの表面側にひっぱられている
3. AFM探針の先端がサンプルに接触する
4. AFMプローブがサンプル表面に押し込まれ、カンチレバーが表面から押し返されてたわむ
5. 最大力もしくは「ピーク」に到達(形状像を取得するため相互作用を制御する)
6. AFMプローブが表面から引き離される。AFMカンチレバーのたわみが減少し、ゼロ位置を通過した後、AFMカンチレバーはサンプル表面に凝着された状態になりカンチレバーはサンプル表面方向にたわむ
7. FMカンチレバーをさらにサンプル表面から引き離すと、AFM探針が表面から離れる。AFMカンチレバーはしばらく固有振動周波数で振動する(発振)
8. ベースライン。次のサイクルを開始する前に振動が十分に減衰し、正確なベースラインが得られることが理想的です。
a)AFMカンチレバーのたわみに対する光検出器のキャリブレーション(ディフレクション感度)と、b)AFMカンチレバーのバネ定数を決定することにより、光検出器の出力値(ボルト)をフォース値へ変換し、定量的なフォース測定が可能になります。
カンチレバーのたわみを光検出器の信号(ディフレクション感度)に変換し、カンチレバーのバネ定数をサーマルチューニング法で求めることにより、ティップ-サンプル間の相互作用を直接、定量的なフォースとして表示することが可能です。また、相互作用を最小化することにより探針の摩耗を抑え、サンプルの材料特性に応じたフォースカーブを解析することができます。
各サイクルにおける最大または「ピーク」力が、ピエゾを引き離すトリガーとなるため、PeakForce Tappingと名付けられました。相互作用力の直接的な制御が可能なため、タッピングモードで使用される力よりもはるかに小さい数ナノニュートン程度の小さな力を適用することができ、硬い金属やセラミックから液中のDNAやその他のバイオサンプルまで、幅広い材料に対してAFM探針やサンプルへのダメージ低減効果を発揮し、その結果、高解像度イメージングの一助となる測定方法です。
接着力、弾性率、変形そしてエネルギー散逸に関する定量的なナノ機械特性に関する情報は、PeakForce Tappingによるフォースディスタンス曲線に含まれており、直接抽出することができます。
PeakForce Tapping は、PeakForce TUNA(PF-TUNA) や PeakForceケルビンプローブフォース顕微鏡 (PF-KPFM) 、 PeakForce走査型電気化学顕微鏡 (PF-SECM) など、新たな電気・電気化学特性測定モードも可能にしました。
Bruker の ScanAsyst モードは、PeakForce Tappingモードをベースにしており、画像品質が均一になるようにスキャン パラメーターを継続的かつ自動的に最適化しています。
下記のAFMプローブに加え、NANOSENSORS™ Special Developments List にあるAFMプローブ SD-R30-NCH, SD-R30-FM (R=30nm), SD-T7L100 (C=600N/m) もご検討下さい。
AFMティップ形状: 円形対称
AFMティップ形状: 円形対称
AFMティップ形状: ピラミッド
AFMティップ形状: ピラミッド
AFMティップ形状: various
AFMティップ形状: ティップビュー
AFMティップ形状: ティップビュー
AFMティップ形状: 反転
AFMティップ形状: 反転
AFMティップ形状: 反転
AFMティップ形状: various
AFMティップ形状: 標準
AFMティップ形状: 標準
AFMティップ形状: 反転
カンチレバー末端にティップを配置したAFMプローブ
様々な用途に使用できるカンチレバーを3本搭載
AFMティップ形状: ティップビュー
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AFMティップ形状: 反転
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AFMティップ形状: ティップビュー
AFMティップ形状: 反転